読売新聞の主筆、渡辺恒雄氏についての印象はあまり良くありませんでしたが、彼のことを知りたくなり、本書を読みました。
【本書の引用分の紹介】
1945年、19歳で学徒出陣により徴兵され、戦争と軍隊を嫌悪した渡辺。政治記者となって目にしたのは、嫉妬が渦巻き、カネが飛び交う永田町政治の現実だった――。「総理大臣禅譲密約書」の真相、日韓国交正常化交渉と沖縄返還の裏側、歴代総理大臣の素顔。戦後日本が生んだ稀代のリアリストが、縦横無尽に語り尽くす。
私は昔、大阪に住んでいました。
父はタイガースファンで、巨人の渡辺恒雄氏が嫌いでした。渡辺氏は横暴で権力を持っている人というイメージがありました。
しかし、本書を読んで渡辺氏が戦争について知識があり、勉強熱心な人であり、戦後の政治に大きな影響を与えたことがよく分かりました。
首相の選出や日韓国交正常化、沖縄返還など、一人の新聞記者がここまでの影響力を持っていることに驚きました。彼は裏で様々な活動をしており、まさにフィクサーのような存在です。
また、自民党内には異なる派閥が存在し、戦後の政治で機能してきたこともよく理解できました。
戦後の政治では、中心的な役割を果たしていた政治家は戦争を経験していました。彼らは戦争体験を基盤にし、より自由主義的な政治を行ってきましたが、平成以降は少数派になっています。最近の政治を見ていると、「戦争を二度と起こさない」という努力が本当に行われているのか、少し不安を感じます。
最後に、政治の世界では政策よりも人間関係が非常に重要であることも分かりました。また、政治家のナンバー1は実力のあるナンバー2を嫌う傾向があるそうです。
これは社内政治を見ていてもよく理解できます。自分の立場を脅かす存在として、他の有力者を脅威に感じるのでしょう。