「ファスト教養」とは何でしょうか?
著者の造語になりますが、音楽も映画も読書など、教養を「コスパ」と「ビジネス(お金が儲かるか)の役に立つか否か」の目線で学ぶことだそうです。
【紹介文の引用】
【「教養=ビジネスの役に立つ」が生む息苦しさの正体】
社交スキルアップのために古典を読み、名著の内容をYouTubeでチェック、財テクや論破術をインフルエンサーから学び「自分の価値」を上げろ――このような「教養論」がビジネスパーソンの間で広まっている。
その状況を一般企業に勤めながらライターとして活動する著者は「ファスト教養」と名付けた。
「教養」に刺激を取り込んで発信するYouTuber、「稼ぐが勝ち」と言い切る起業家、「スキルアップ」を説くカリスマ、「自己責任」を説く政治家、他人を簡単に「バカ」と分類する論客……2000年代以降にビジネスパーソンから支持されてきた言説を分析し、社会に広まる「息苦しさ」の正体を明らかにする。
本書を読んで、久しぶりにドキっとしました。
私も大学から就職したあたり、仕事で結果を出したく、自己啓発本を中心に書籍を読んで勉強してました。
何か問題があると、本を探している自分がいました。
その頃からでしょうか。仕事で役に立たないことは、無駄に感じるようになりました。
小さい頃から熱中していたTVゲームや、麻雀・競馬などのギャンブルは、パタッと辞めました。
プロ野球やプロレスといった小さい頃、あんなに夢中になっていたのに見なくなりました。
正確に言うと、プロ野球はプロ野球ニュースでダイジェストや結果だけ(まさにファスト)、見るようになりました。
9回までずっと見るのが、時間の無駄に思えたからです。
スキーや釣りも、純粋に楽しむというより、友人と交流するためのイベントと考えていたところがありました。
亡き両親とは、もっと話したり旅行する時間をとっておけばよかったと後悔してます。
結局残ったのは、歴史小説を読み、旅行で史跡巡りをすることで、これも子供ができてからめっきり減りました。
本書で映画「花束みたいな恋をした」が紹介されてましたが、まさに自分を見ているようでした。
本書では、新自由主義的な考え方にも触れられてます。
努力したから仕事や給与など豊かさがあり、逆に貧しい人は努力していないからだ、と決めつける態度のことです。
これも、ドキッとします。自分が成功した場合、確かに努力はあるはずですが、
人との縁など運の部分も大きく、失敗した人は、運に恵まれなかった人なのかもしれないと。
なんでも自分でコントロールできる、それは思い上がりにすぎないのかもしれません。
仕事やお金のことについて、それなりに勉強し努力してきたつもりなので、後悔はしてません。ただ、豊かな人生を送ることをないがしろにしているところはあるかもしれない、と思いました。
人生を豊かにするために、本を読む、仕事やお金以外のことも楽しむ、そんなことに気づく本でした。