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【読書】「スーパーの神様/コンビニの神様 二人のカリスマ」を読んだ

イトーヨーカ堂、セブンイレブン創業者をモデルにした小説です。面白かったです。

 

【本書の紹介文の引用】

慎重な男は、時代を変えた。

戦後の日本を「一商人」として生き抜いた男、藤田俊雄。商人でもあった母の教えを胸に、復員後、東京・北千住で義兄とともに洋品店を営むことに。儲けを最低限に抑え、客を第一に考えたその店は、食料品等も扱うなど業容を広げ、「スーパーマーケット」という新たな形態へと変貌を遂げていく。
イトーヨーカ堂創業者・伊藤雅俊氏等をモデルに、流通の頂点に立つ男たちの姿を描いた傑作ビジネス大河小説。

 

上巻では、イトーヨーカ堂の創業者である伊藤雅俊氏をモデルにした人物が主役として描かれています。彼はお客様に誠実かつ、慎重な人物として描かれており、他のスーパーの経営者(ダイエー、西友)たちも登場します。

 

伊藤氏は、成長よりも生き残ることが大事と考えています。
ダイエーや西友は、バブル期の不動産投資で大きな打撃を受けました。一方、イトーヨーカ堂は不動産投資に見向きもせず、本業を大事にします。
バブル崩壊後、ダイエーや西友は経営不振に苦しみましたが、イトーヨーカ堂は業績を順調に伸ばしていきます。

 

この本の下巻では、セブンイレブンの創業者である鈴木敏文氏が主役として描かれています。

鈴木氏には、課題を見つけると解決するまで徹底するという持ち味があります。

彼は新しいことを発想する姿勢を持ち、仮説ベースの手法でビジネスを展開しています。

また、「お客様のあっての商売は、お客さまの存在を絶対に忘れてはいけない」という考えを原点にしており、「お客さまのありようが常に変化すること」を意識しています。
彼は周囲の反対を押し切ってコンビニ事業や、アメリカのセブンイレブンの子会社化、セブン銀行の設立に果敢に挑戦し、成功を積み重ねていきます。
伊藤氏は鈴木氏に経営を完全に任せていましたが、最後、鈴木氏に引退の引導を渡します。

 

伊藤氏と鈴木氏を比較すると、一見、優れた鈴木氏が優れた経営者に見えます。
ただ、後継者を作るという面で、「後継者の鈴木氏を育てること」に成功したのは伊藤氏です。

他の企業を見ても、ソフトバンクグループの孫氏や、ファーストリテイリングの柳井氏、カリスマ経営者の後継者は、なかなか育たないように感じます。

結局、部下に任せきるのが簡単なようで難しいことなのかもしれません。
カリスマ経営者も、数々の失敗を重ねて今があるはずなのですが、自分の過去はさておき、部下の足りないところが目につくのでしょう。
そもそも、結果に妥協を許さない完璧さを求める姿勢があるから、カリスマ経営者になるだけの実績を残せたのではないでしょうか。

 

現在、セブンアイグループの中でも、イトーヨーカ堂は厳しい業績です。
モノを言う投資家からグループから事業の切り離しを言われています。
食品など、何かに絞らないと立ち行かないのかもしれません。
永続するビジネスモデルはない、ということが改めてわかります。ビジネスの世界は甘くないです。
顧客の潜在ニーズに気づき、自らを変え続けることが必要ですが、過去の成功が大きいほど変えることが難しいです。

私自身の仕事においても自戒したいです。