「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助氏の歴史小説です。
徒手空拳、九歳で和歌山の農村から出た松下幸之助は大阪・船場の自転車店で働き、商売を体に叩き込んだ。やがて自ら考案した改良ソケットの工場を創業、親族会社から、世界の頂点に君臨する企業グループを作り上げた。戦前から戦後まで、想像を絶する不況をバネに、独創的な発想で日本経済を牽引したカリスマの生涯を描く画期的歴史小説。
私は松下幸之助氏の「道を開く」を若い時、愛読していたので、悟りきったような人をイメージしてました。
実際は、かなり短気だったそうです。
それは仕事を真剣に考えている人なんだからでしょうか。
印象に残ったのは、
「経営者には、とくに先見性が必要だと思いますが、現在のように流動激しい時代には、どこまで先が見えるものでしょうか。」という質問に対して、
「一歩だけ先を見たらいいんやないか」「それを、三歩も四歩も先を見ようとすると、失敗しまんな。」
「経営者はあすの経営でいい。一歩づつ先んじたらいいと思うんです。そうして、変化に即応するだけの心の余裕、企業なら在庫の余裕を持つことですよ。」
「ほんとうのことをいうと、先は見えないんじゃないでしょうか。けれでも永年、経営の仕事をしていると勘が働くか働かんか。これは大きな問題。」
です。
結局、仕事に対して、日ごろ計画やリスク、物事を持続的かつ真剣に考えていることによって心の準備ができてくる。
だから何かあったときに反射的に反応ができる、つまり「勘が働く」ということなのでしょうか。
自分も、勘が働くくらい仕事に取り組みたいと思いました。
また、若い時に読んでいた「道をひらく」を改めて再読したいです。