Youtube「山田五郎 オトナの教養講座」で見たメンヘーレン事件のことが面白かったです。
オランダの画家であるメンヘーレンは、売れない画家でした。
自分を認めないオランダ美術界への復讐から贋作のビジネスに手を染めていったそうです。
贋作の題材は、フェルメールの作品なのですが、作戦が面白い。
権威のある専門家が唱えていた、
「フェルメールはきっと初期は宗教画を書いていたはずだ」という説にあうよう、
「エマオの食事」という宗教画の贋作を作りました。
まさにカエサルの言葉、「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。 多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない。」
という、人の心理をついた感じでしょうか。
また、権威者を利用して人を騙すのも、詐欺の常套手段かと思います。
絵具も同じ17世紀の絵画から絵具を削り落としたものを使用したり、
絵筆も当時と同じようなものを自ら作ったそうです。
また、200年前の絵具のひび割れ感がでる方法も考えました。
とにかく、すごい徹底ぶりです。。
そして、当時のフェルメール研究家に「本物」と認められたそうです。
第2次世界大戦の終戦後、メンヘーレンはナチスドイツの高官たちにフェルメールの作品を売った罪で逮捕されます。
このままだと、ナチスへの協力者として国家反逆罪で処罰されることになるのですが、
彼は自分が贋作として作ったことを自白しました。
証拠として法廷で絵を書いたり、絵画のX線での鑑定で彼の手による贋作と証明されました。
彼は売国奴から一転、ナチスドイツを騙した英雄となるのですが、すぐに心臓発作で死亡してしまいました。
山田五郎さんも述べているように、メンヘーレンは自分の実力を見つめてほしかったのでしょう。
たまたま、本件は彼の自白でわかりましたが、世の中の美術作品の中に、
きっと誰も分かっていない贋作があるのだろうな、とも思いました。
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